20通りの視点から語られる 海の魅力と海洋問題
発表内容※一部抜粋
Aグループ
テーマ:「魚から見える海の環境」
魚の「鯛の鯛」(胸びれを支える骨)に魅了された佐々木蒼大さん(神奈川県)は、さまざまな魚から鯛の鯛を採取し、図鑑を作成。魚の種類によって鯛の鯛の形・大きさにも違いがあることを学びました。石野立翔さん(千葉県)は、サメの研究から学んだことを発表。「サメの世界はわからないことだらけですが、その謎をみんなと討論する時間が大好きです」と語り、サメを傷つける海洋ゴミについても問題提起をしました。
Bグループ
テーマ:「生き物と環境のかかわり」
丸内陽仁さん(岡山県)は、海の生き物が誤って食べてしまうマイクロプラスチックについて調査。ごみ拾いやリサイクルを呼びかけ、「ごみをひとつでも多く減らすことで、海はダイヤモンドのようにキラリと輝く」と熱弁しました。橋本拓磨さん(岡山県)は海の環境問題に関心を持つ人をもっと増やそうと、オリジナルのボードゲームを制作。大人も子どもも楽しく遊びながら、海のためにできることが学べる内容を目指したといいます。
Cグループ
テーマ:「海の未来を予測する」
北海道から来た水上咲季さんは、自ら撮影したオホーツク海の流氷の様子を写真や動画で紹介。海氷の減少によって気温上昇、海洋循環、生態系などに影響を及ぼし、私たち人間にも無関係ではないと警鐘を鳴らしました。地元の姫路海岸を調査した山下遼恭さん(鳥取県)は、同じ海岸の砂浜でも場所によってカニの巣穴の数や大きさに違いがあること、大量の生活ごみが流れ着いていたことなどを報告。「10年後も20年後も、カニも僕たちも楽しく遊べる砂浜を」と訴えかけました。
Dグループ
テーマ:「海を知るとわかる海の安全」
ご両親がともにライフセーバーだという中村海童さん(京都府)は、慣れ親しんだ地元・宮津の美しい海を紹介。自身もライフセーバーになることを目指し、中学生になったら資格を取りたいと意気込みます。伊藤晏理さん(北海道)は、海の安全を守る海上保安官の志望者が減っていることを知り、海上保安庁の職員や女性保安官へインタビューを実施。「海上保安官を増やすだけではなく、海難事故を減らすことも大事」という気づきを得たことを報告しました。
Eグループ
テーマ:「アイデアで社会を変える」
田中獅礼さん(沖縄県)は、学校の自由研究をきっかけにビーチクリーン活動を開始。工学を学びながらマイクロプラスチック回収ロボットを制作しており、今後も改良を重ねながら環境啓発に役立てたいと語りました。海洋プラスチック汚染の深刻さを知った三輪風乃衣さん(埼玉県)は、友人とごみ拾いサークルを結成。市や企業の協力を得てごみ拾いイベントを開催、成功をおさめ、海洋問題への取り組みを通して人と人とのつながりの大切さを学んだといいます。
まとめ
それぞれ発表を終えると、会場中から温かい拍手が送られました。その後の質問・意見交換の時間では「まわりの人を巻き込む勇気がすごいなと思った」などの感想が語られたほか、「今後どんな岸壁幼魚を採集したい?」「一番好きなプランクトンは?」といったマニアックな質問も飛び出し、熱源ジュニアたちの知的好奇心がさらに刺激されたようです。
熱源ジュニアの多彩な活動報告に、専門家たちも感嘆!
最後に登壇したのは、熱源ジュニアたちの発表を“先輩”として見守った3人のゲストオブザーバー。社会、生物、海洋環境の専門家たちも、子どもたちの熱いプレゼンテーションに胸を打たれている様子でした。 「普段、私は若者の社会参画を呼び掛けていますが、熱源ジュニアの皆さんが友だちや行政を巻き込み、社会を変えていく姿に感動しました。今後も『どうやったら社会がより良くなるのか』を考えて、ぜひ行動に移してほしいと思います」(たかまつななさん/㈱笑下村塾 代表取締役) 「20人いれば20通りの海の見方、活動の方法があると改めて感じた。皆さんが次の時代のリーダーになっていくと思うので、どんどんまわりに熱源を広めていってほしい。“好き”や“ワクワク”の気持ちを大切にして活動を続けてください」(鈴木香里武さん/岸壁幼魚採集家) 「びっくりしたのは、課題を可決しようとする力だけでなく、課題を発見しみんなで解決しようという力を皆さんが持っていること。すごく刺激になるとともに、皆さんの熱が伝わってきて、自分ももっとがんばらなければいけないと思いました」(野牧秀隆さん/JAMSTEC主任研究員)
ゲストオブザーバー(24日)
(株)笑下村塾代表取締役
たかまつ ななさん
岸壁幼魚採集家
鈴木 香里武さん
JAMSTEC 主任研究員
野牧 秀隆さん