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海と山はひとつ!イカした〝命〟と〝海〟【山形 鼠ヶ関編】

市川さゆり

山形

EAST

軽自動車がやっと通れるくらいの小さなトンネルを抜け、険しい坂道を登ると、そこは「棚田」だった。
某有名な小説の一説をまねしたくなるくらい、テンションが上がる美しい景色。
「やまがたの棚田20選」にも選ばれている暮坪(くれつぼ)の棚田です。
奥に見えるのは日本海です。

木を植えたり、間伐したり・・・
なぜ、〝陸〟のお手入れが、豊かな海を守ることにつながるのか・・。
その答えが、この景色の中に隠されています。

NPO法人 自然体験温海コーディネット事務局長 冨樫 繁明さん。
山形県の熱源人材です。
山形県鶴岡市の鼠ヶ関(ねずがせき)で、子どもから大人まで幅広い層を対象に
自然体験や環境教育プログラムを提供しています

今回は、熱源・冨樫さんの案内で山形の日本海を堪能します!

まずは、シーカヤックで海へ!
鼠ヶ関湾を沖へと漕ぎ出します。
気持ちいい~と思っていたら、冨樫さんがこんなことを・・
「鼠ヶ関の母なる海は、山々が育んでいるんです」。

出羽三山に囲まれた庄内・鶴岡市。
海と山がとっても近いんです!

山の木々から落ちた植物の実や葉は、ミネラルを含んだ栄養分たっぷりの豊かな土壌をつくります。
その栄養分は、雨水や地下水に溶け込み、川を通じて海に運ばれます。

海に運ばれた栄養分は植物性プランクトンを発生させ、貝類や動物性プランクトンの餌となり、ちいさな魚を成長させ、その小魚は大きな魚の餌となります。
そして、海水は雲となり、やがてまた大地に降り注ぎます。

超ダイナミックな食物連鎖!!

山、川、海、みんながそろって元気でいることが大切なんです。

次に連れて行ってくれたのは・・・・

山形県漁協女性部(漁師の奥様)よって運営・管理されている水産加工場。
主に鼠ヶ関港で水揚げされた魚介類を加工しています。

ここでは、浜のソールフード「スルメイカの一夜干し」づくりにチャレンジしました!

この体験、発見がいっぱい!
イカにボタンがあるってしってました。笑
イカを切り開くと、頭付近の軟骨の部分の左右にボタン穴がふたつと、胴側にそれに対応するボタンがついています。
なんと、つけたり、はずしたり出来るんです!

イカは疲労回復・美容・免疫力向上にも効果があると言われているんですよ!
山形県唯一の離島「飛島(とびしま)」では、米の代わりにイカで年貢を納めていたそうです!
それだけ、たくさんのイカが獲れていて、生活と密接な関係にあったって事ですよね!
そして、獲れすぎたイカを保存し、1年中、海からの栄養を得るために、一夜干しがはじまったそうです。

人々の生活を支えてきたイカですが、近年、漁獲量が減少しています。
山形県によると、2019年のスルメイカ水揚げ量は、過去最低の1316トン。
ここ10年の水揚げを平均すると約2000トンだそうなので、6割ちょっとしかとれていません。
イカの産卵場で、たくさんのイカがとれる漁場の海水温が安定しないことに加え、外国の船の違法操業の影響もあるということです。

そんな中ですが、捌いたばかりのイカから取った墨を使って書道にもチャレンジしました!
私が書いた、〝イカ〟した一字は…

「命」
山々や川にある命が海に繋がれ
海が育ち、イカを成長させ、私たちに喜びや命を与える。
その大きな命の連鎖を一文字で表現しました!
しかも。イカちゃんデザインで。笑

そして富樫さんの〝イカ〟した一字はというと・・・

「海」の中には「母」と言う文字が隠れています。
冨樫さんにとって海は母親のような包容力があり辛い時に慰めてくれる場所。
「そんな海で1人でも多くの人が力をもらい救われてほしい」という気持ちから
環境学習のプログラムをはじめたそうです。

さて、捌いたイカを干した後は…
イカ焼きで頂きました!

イカの甘みを感じられるように、少しレアに焼き上げます、イカの甘みが感じ引き立ちます!
イカの一夜干しは水分も抜けているので、天ぷらにも良いそうですよ。

鶴岡市が土地の7割以上が森林!
山と海がすぐ近くにあるからこそ、海を未来に残すために山々を育てることが大切。
自然体験や食を通じた体験に少しでも興味を持つ人が増えたら
海の未来は明るくなるのかもしれません。

 

展望台から見下ろす母なる海と、それを育む力強い山々の命や、
冨樫さんの海を大切にされる想いをしっかりと受け止め、
キャラバンは東へ進みます!

 

■シーカヤック体験
https://gb-atsumi.jp/nature/activity/kayak/

■イカの一夜干し体験
https://gb-atsumi.jp/nature/activity/ika/