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手つかずの自然が育む超貴重な生態 【広島 ハチの干潟編】

門脇大樹

広島

WEST

広島県での海の学びの舞台は、竹原市賀茂川の河口。
ここに広がる「ハチの干潟(はちのひがた)」です。
潮が引くと、約22ha、東京ドーム4個半ほどの干潟が現れます。

干潮の時に干潟に降りてみると・・・

瀬戸内海のこのあたりの干満の差は、約3.5m
少し高くなった岸沿いでも、人の身長を超える水がひいていきます。
※写真 岩の色が黒く変わっているところまで水が満ちます。

このダイナミックな自然のメカニズムが、
びっくりするくらいたくさんの生き物の命を育んでいます。
環境省によると・・・
「瀬戸内海の中でも非常に種の多様性の高い干潟が広範囲に残されており、
周辺海域への底生動物種の供給源として,重要な干潟である」なんだそうです。

これはすごそう!

この干潟を守る活動をしている
ハチの干潟調査隊の代表 岡田和樹さんと干潮の干潟を歩いてみました。
すると、めずらしい生き物がいっぱいです。

貝を食べるゴマフダマ
名前も姿もカワイイ

はさみが特徴的なハクセンシオマネキ
絶滅の恐れが高まっているとして、広島県も国も保護していますが、
ハチの干潟では、何十匹ものハクセンシオマネキが、一斉に砂の中に潜って、
いたる所から地上に顔を出す様子を見ることができました。

そして、個人的に一番感動したのは、
国が絶滅危惧種に指定しているカブトガニの幼生。
脱皮した皮も落ちていて、ここで生まれて大きくなっているんだなーと
実感しました。

干潟は、潮が満ち引きする特殊な環境を活かして、たくさんの生き物が暮らしています。
特に生き物の産卵、子育てにとってとても大切な場所です。
また、干潟にすむアサリなどの生きものや土の中の微生物が水をきれいにするのだそうです。

しかし、今、日本国内の干潟がピンチを迎えています。
瀬戸内海における干潟面積は、1898年から1949年までの50年間におよそ10,000ha減少、
さらにその後、1949年から1990年までの40年間で約3,500ha減少しています。
大雑把に言うと100年で半分になっています。

同時にそこに暮らす生き物も絶滅のピンチを迎えています。
ハチの干潟も、一度は海のゴミ捨て場として
埋め立てる計画が立ち上がったそうですが、
岡田さんはじめ、地元の人たちが干潟の大切さを訴え計画は中止に。
全国でも、干潟を残そうという機運が高まり、国の調査では、ここ10年ほどは、少しずつですが、瀬戸内海では干潟の面積が回復してきています。

 

生き物の命を育み、海をキレイにする干潟。
簡単に貴重な生き物に触れられるので、子どもたちの校外学習の場としても頻繁に使われるんだそうです。
そういう意味では、私たちに海の大切さを教えてくれる先生でもありそうです。