ウミガメを愛し、ウミガメに愛された町【徳島県 美波町日和佐編】
そう!
このまちは、いたる所に・・・
ここは、徳島県南部に位置する美波町日和佐。
ウミガメが産卵にやってくる大浜海岸があることから
昭和25年に日和佐中学校でウミガメ研究をはじめたのをきっかけに
アカウミガメの保護研究や規制を町ぐるみで行うようになったそうです。
まさにウミガメと共に歩んで来た町!
そして、このまちには世界的にも珍しいという“ウミガメの博物館〟『日和佐うみがめ博物館カレッタ』があります。
今回はこの博物館でウミガメについて学びました。
教えて頂いたのは、ウミガメを愛してやまない博物館の職員『田中宇輝(たなかひろき)』さん。
ウミガメの生態について、また、近年、危惧されているというウミガメの減少について教えていただきました。
日和佐の大浜海岸には春過ぎから夏にかけてウミガメが産卵に訪れます。
(ウミガメは産まれた場所の磁場を感じてその浜に帰ってくるそうです)
1回の産卵で、場所探しに約20分、
ヒレが届かなくなるほどの深さまで穴を掘るのに約20分、
そして、約20分かけて産卵します。(300〜400個)
砂を埋め戻すまでの全行程は約1時間。
陸の上で、体力を使い果たす出産は、リスクも高く、母親の愛情がたっぷり詰まった、命がけの行為です。
産卵後、60日前後で孵化。
外敵が少なく、温度の低い夜に砂をかき分けて一斉に土から出て大海原へと向かいます!
こちらは、その様子を再現したジオラマです!
海面のキラキラした光を目印に海へと旅立って行くウミガメの子ども達ですが
近年は自動販売機などの光を海面に反射した光と間違え
海に向かえずに死んでしまうウミガメがいるのだそうです。
私たちにとって、便利であることが多い、夜の明かりがウミガメの命を奪うこともあるんですね。
日和佐の大浜海岸に上陸するウミガメは年々減っているそうです。
1995年ごろまでは年間平均で70〜100頭が大浜海岸に訪れていたそうですが、
近年では30頭を下回るようになってしまいました。
原因は、意図せず漁獲してしまう“混獲“と海外で行われる“乱獲“。
その他、海岸侵食や海岸工事の影響で帰ってくる浜が減っていることも一因と考えられています。
日本は北太平洋で唯一のウミガメ産卵地。
ウミガメがいつまでもこの日和佐の大浜海岸に、そして日本に帰って来て欲しいですね。
“鶴は千年、亀は万年“と言われるくらいウミガメは生命力の強い生き物。
しかし、産卵できる浜が無くなると、その命を繋いでいくことができません。
日和佐では、これからもウミガメ生命誕生の場所を大切に守り続けていく取り組みが進んでいくと思います。