“熱源”人材 - NETSUGEN JINZAI

栃木

海は生きがい。人生になくてはならぬもの

海に一途な熱血サーファー

鈴木 和幸

KAZUYUKI SUZUKI

PROFILE
生年月日
1967年3月26日
主な活動エリア
茨城県鉾田市の勝下(かつおり)海岸周辺
日本サーフィン連盟・強化本部国際委員。栃木県小山市出身。
同連盟理事として次世代サーファーの育成や選手強化に取り組み、2021年東京オリンピックのサーフィン種目競技委員も兼任。サーフィンのプロショップ「DEVICE」代表。

気持ちよく波に乗れる環境を絶対に守りたい!

サーフィンが好き。だから海が好き。
19歳で波に乗る快感に魅了され、以来35年間も海に通い続けている鈴木さんのサーフィン熱は、今も「1週間サーフィンしないと体がおかしくなる!」というほど。まさに骨の髄までサーファーですが、出身は意外にも〝海のない〟栃木県です。

「そう、海なし県なんですが(笑)だからこそ海への憧れがありました。たまたま知り合いに誘われて、片道1時間半の茨城の海でサーフィン初体験。波をとらえる瞬間がもうたまらなくて1回でハマりました。波の大小に関わらず、この気持ち良さは他ではどうしても味わえない感覚なんです」

鈴木さんが運営するDEVICEは、サーフィン関連用品を扱うショップであると同時に海好き仲間の集まる場。サーフィンの魅力を広めるために、初心者向けから上級者向けまで様々な内容のレッスンも行っており、「海なし県だからって海の楽しさを知らないのは勿体ない」と、子ども向けサーフィンスクールにも力を入れています。

「海の楽しさは勿論ですが、大切さも伝えたい。海ごみの8割は内陸部から出ていると言われているのに、海との関わりが無い人はどうしても海ごみへの意識が低くなりがちです。栃木の人にも何かをきっかけに海を身近に感じてほしい。私の場合はサーフィンを通じて、大切なことを伝えています」

さらに、長年取り組んでいるのが定期的なビーチクリーンです。茨城県のサーフィン団体と一緒に清掃活動を続けてきたことで、海ごみ問題を共に考える仲間が増え、ビーチ周辺住民からも積極的に協力してもらえるようになりました。

「海ごみだけでなく、海岸の浸食問題にも危機感を持っています」と話す鈴木さん。海岸の浸食とは、海岸線がどんどん後退して陸地面積が減っていく現象のことで、海岸にある土や砂が波によって海へと流されてしまうことで起きます。海岸浸食問題は、近年、日本各地で深刻化しており、その原因は、ダム建設や河川の工事などにより、内陸から運ばれて海岸線に堆積するはずの砂が急激に減ってしまったことだとされています。

鈴木さんは東京オリンピックのサーフィン種目競技委員の一人ですが、その競技会場である千葉県九十九里海岸でも、ここ約40年の海岸浸食によって30kmにも及ぶ海岸線が侵食されています。

海岸浸食の対策として波消しブロックを整備するケースもありますが、それが原因で快適なサーフィン環境が失われることも起こり得ます。鈴木さんによると、例えば茨城の阿字ヶ浦。かつてはサーフィンのメッカで、北関東一の海水浴場でした。しかし、その阿字ヶ浦でも、港の拡張工事のために沖に巨大な防波堤がつくられ、波を消すためのブロックがたくさん設置されました。そのせいで、潮流も海底の地形も変わってしまい、サーフィンも海水浴もできなくなってしまったそうです。

海岸浸食はサーファーの力だけでは解決できない課題です。しかし、例えば乱開発へのチェック機能を持つなど、海を愛する仲間が集まって声を上げることで可能になることも何かあるはず。そう鈴木さんは信じています。

「サーファーも釣り人も地域の皆さんも、海を守りたい!という気持ちは同じ。横の繋がりを意識して、輪を広げながら発信していくしかないですね。これまでの環境保全活動を通じて地元の自治体とは連携を図れているので、諦めず、現状を知り、地道な活動を続けていくことで何かしらの成果を出せると考えています。大袈裟ではなく日本中、世界中を巻き込んで、未来の海について考えていきたいです」

★ 編集後期 ★ 実はこんな人!

栃木から茨城へ、サーフポイントへ向かう車の中が最高にテンション上がるという鈴木さん。片道1時間半の距離が愛を育てました。海に入るとスイッチが入ったように「見える世界が変わって心が晴れる!ストレスが消し飛ぶ!」そうで、まるでサーフィン健康法。

自分を海の生き物に例えると?

「イルカかな。いつか野生のイルカと並んで波乗りしたいですね」

今でも無邪気な少年っぽさを残す鈴木さん。いつか、“イルカに乗った少年”ならぬ、イルカと波乗りする少年(?)になれるかも。