“熱源”人材 - NETSUGEN JINZAI

富山

海は、色んなものを学ばせてくれる存在。

夢は水族館飼育員!勉強家のお魚博士

高倉 寿弥

TOSHIYA TAKAKURA

PROFILE
生年月日
2008年8月4日
主な活動エリア
射水(いみず)市内
射水市立小杉中学校1年生。
魚を調べたり観察したりするのが大好きで、魚に関しては大人顔負けの知識をもつ。釣った魚を自分で捌いて料理を作るのも得意。好きな魚は地元の名産ホタルイカ。

水族館に住みたいくらい、魚をずっと見ていたい!

1971(昭和46)年発行の「日本産魚類大図鑑」(講談社、当時の定価29,000円)。
この重さ約4kgもある古くて高価な専門書をバイブルに日々勉強し、魚について膨大な知識を蓄えているのが、高倉寿弥くんです。

「小学4年生の時、魚市場に勤めていた親戚の人にこの大図鑑をもらいました。いろんな魚の絵が千近く掲載されていて、見るのが楽しくてすぐに覚えられます。たくさんの魚の名前や特徴などを言えることが特技になりました!」

(↑)掲載魚種は486種で、1種につき複数の図版が載る魚も。説明が細かくて絵も美しい豪華本。

魚に興味がわいたきっかけは、8歳の頃に参加した釣りイベントでした。初めての釣りは全然釣れず、最後の最後でようやく釣れた1匹が、キュウセン。キュウセンとはベラのことで、西日本では人気の高級魚です。当時はまだその名を知りませんでしたが、スタッフの大学生が教えてくれ、さらに天ぷらを作ってくれて美味しくいただいたそうです。

そんな初体験に感動した寿弥くんは、すっかり釣り好きに。獲物が気になって調べるうちにどんどん魚に詳しくなり、お魚愛も深まっていきました。

「釣った魚は家に帰ってから自分で洗い、心臓や浮き袋を出すなど丁寧に捌きながら観察します。捌き方はおばあちゃんに、料理はお母さんに教わりました。天ぷらや唐揚げ、あら汁に調理して、家族みんなで美味しく食べるのが楽しみです」

寿弥くんにとっては食事時間も観察タイム。魚をじっくり見ながら食べて、つい耳石(じせき)(※)を取り出して愛でてしまうのも日常茶飯事だとか。
(※)耳石…魚の頭蓋骨の中にある炭酸カルシウムでできた石のこと。

(↑)(↓)この日釣れたのはヒイラギ7尾とキス1尾。シンプルに味噌汁にして家族に振る舞いました。

魚への関心の深さは、水族館での行動を見れば一目瞭然です。「魚の動きを観察していると時間を忘れちゃう」と語る寿弥くんは、お気に入りの魚津水族館(富山県魚津市)に行くと水槽ひとつに1時間(!)かけてじ〜っくり見るのが当たり前。
とにかく水族館が大好きで、将来の夢は水族館の飼育員と心に決めています。

「魚津水族館で、魚の世話をしている飼育員さんの姿を見て『かっこいい!』と思いました。水族館でできる体験イベントも楽しくて、ホタルイカの解剖をしたり、飼育員さんにペンギンへの合図を教えてもらって一緒にペンギンと遊んだことも印象に残っています。魚と関わる仕事は他にもあるけど、水族館の飼育員さんが一番の憧れです!」

並々ならぬ入れ込みよう。お母さん、水槽ひとつに1時間、本当ですか…?

「はい、嘘みたいですが本当です。だから当然、家族とは完全別行動になりますね(笑)。これまでに石川と新潟の水族館は一緒に行きましたが、日本全国の水族館をめぐりたいと言ってますので、これからどうなることやら…」(お母さん談)

(↑)水槽の前では時間を忘れる。日本中の水族館をめぐるのが夢!

魚を大好きになる前は、海にもあまり興味が無かったという寿弥くん。釣りをしに海へ通うようになり、魚に詳しくなればなるほど、自分と海との関係も変わっていきました。
海の生き物が暮らす環境や、その変化についてもどんどん調べたくなり、今では魚だけではなく生態系にまつわることや海ごみ問題にまで勉強の範囲を広げています。「とにかく海の環境を守らなくちゃ!」と、ごみは絶対にポイ捨てしないと心に誓ったんだとか。

2021年春に中学生になり、美術部に入部して忙しい日々を送りながらも、お魚愛はいや増すばかり。部活で画力を養って、家ではバイブルの大図鑑を見ながら魚の絵を描くようにもなりました。

「中学のうちは、大図鑑やインターネットで調べまくってとにかく知識を増やします。そして全国の水族館をめぐって日本中の魚を見て、魚のことを学べる大学へ行って、もっともっと勉強したい。実力のある飼育員になりたいので」

意欲、熱意、ブレない姿勢…この調子で勉強を続けたら一体どんなスーパー飼育員が誕生するのやら…期待せずにはいられません。
海の生き物への愛を糧に、世界を広げて魚好きの仲間とも出会い、日本を代表する飼育員を目指して頑張ってください!

★ 編集後記 ★ 実はこんな人!

12歳とは思えないほど物識りで、物腰も大人びている寿弥くん。
お母さんの証言では、自分で「精神年齢は45歳だから…」と言っているんだとか。将来の夢は小さい頃から揺るぎなく「水族館の飼育員」ですが、10歳の頃、「まずは小さい水槽から下積みをして…」と現実的な成り上がりのプロセスを語っていたそうです(笑)

自分を海の生き物に例えると?

「マグロ!止まらずにずっと魚のことを調べ続けていたいから…でも、学校とか公共の場ではコバンザメやってます」

なんという崇高な向学心、飽くなき探究心なんでしょう…!!
と思いきや、えっ!長いものには巻かれろ的な処世術?
やっぱり寿弥くん、おっとな〜!!